骨粗鬆症治療の自明性に関する連邦巡回により確認された判決

連邦巡回は、2対1の判決において、正式事実審理なしでの判決(summary judgment)を確認しました。この判決とは、イバンドロネートを毎月150 mg経口投与することによる骨粗鬆症治療の方法が自明であるというものです。Hoffman-La Roche, Inc. v. Apotex Inc.事件とは、製薬メーカーのロシュが、簡略化新薬承認申請(ANDA)を提出したジェネリック医薬品会社5社を相手取り提訴したものです。Oliff PLCは、ジェネリック医薬品会社の1社であるOrchid Chemicalの代理人を勤めました。

連邦巡回の多数派の意見では、数件の先行技術文献において、イバンドロネートを毎月経口投与することによる治療が開示されているとありました。全服用量の概念を開示するRiisの論文の観点から、毎日5 mgもしくは毎週35 mgである先行技術服用量の1ヶ月分を調べてみると、150 mgという服用量が事実上開示されていました。この全服用量の概念とは、イバンドロネートの骨形成の効果は、個別の服用量もしくは個別の服用頻度ではなく、所定の時間間隔の累積的な服用によるものでありました。 

連邦巡回は、Orchidが雇用した専門家であるJohn Yates博士による証言に依拠して、当業者であるならば、150 mgの服用量が安全であるかどうか懸念を抱くというロシュの主張を拒絶しました。

また、ロシュの予期せぬ結果についての主張は、被告の先行技術が示す「一見したところの自明性の証拠」(prima facie showing of obviousness)を克服するのに充分ではないとしました。ロシュが、150 mgの服用量は、体内における予期せぬ高い生物学的利用能があることを示している一方、生物学的利用能は、効果を見るにあたり直接の基準ではなく、最終的に、当業者が生物学的利用能データの考慮の前に抱いていた「成功の合理的期待」(reasonable expectation of success)を変えるものではありませんでした。