USPTOによる§112に関するガイドラインの改定

2019年1月7日、USPTOは、「35 U.S.C. 112に遵守するため、コンピュータにより実行される機能クレームの限定の審査(Examining Computer-Implemented Functional Claim Limitations for Compliance with 35 U.S.C. 112)」を公表しました。本ガイドラインでは、USPTOの審査官と関係担当者に対する手引きが記載されています。§112に関する手引きでは、(i) 35 U.S.C. §112(f)に基づきミーンズ-プラス-ファンクションの限定を審査し、§112(f)を実施するコンピュータにより実行されるクレームに関して35 U.S.C. §112(b)に遵守しているか否かを判断する、および(ii) 35 U.S.C. §112(a)に遵守するため、コンピュータにより実行されるクレームでの機能的限定を審査することについての適切な分析が記載されています。

特に、本手引きでは、(i) Williamson v. Citrix Online LLC事件792 F.3d 1339, 1349 (Fed. Cir. 2015) (en banc)を考慮して、コンピュータにより実行されるクレームの限定に対する§112(f)の適用性、(ii) §112(f)を実施する機能的クレームの用語が§112(b)に基づき明瞭であるか否かを判断するのに必要な質問について説明されています。§112(f)を実施するコンピュータにより実行されるクレームの限定について、「明細書に、クレームに記載の特定のコンピュータ機能を実施するためのアルゴリズムを開示する必要があります。記載がない場合、該クレームは、35 U.S.C. §112(b)に基づき不明瞭であるとみなされます。」

また、本手引きでは、米国連邦巡回控訴裁判所(CAFC)がVasudevan Software, Inc. v. MicroStrategy, Inc.事件782 F.3d 671 (Fed. Cir. 2015)にて説明したように、コンピュータにより実行される発明を機能的限定を使用してクレームに記載する際の、§112(a)に基づく開示要件が説明されています。特に、本手引きでは、§112(a)の実施性要件と記載要件に遵守するため、Vasudevan事件におけるコンピュータにより実行される機能的クレームの文言に関するCAFCの分析が解説されています。その分析にて、明細書では、非ミーンズ-プラス-ファンクションクレームの限定についても、単に機能的結果そのものだけでなく、どのようにして機能的結果に達成するか(例えば、アルゴリズムおよび/もしくは論理ステップの有限列) の点から、コンピュータにより実行される発明を記載する必要があるとしていました。しかし、本手引きでは、記述要件を満たすため、技術分野において周知であるコンピュータ機能を明細書にて詳細に記述する必要はないとあります。

112に関する改訂版手引きでは、35 U.S.C. §112に遵守するため、コンピュータにより実行されるクレームの審査に関して現行法とUSPTOの方針についての要約がなされているように思われます。実用性の観点から、このような手引きの結果として審査において著しい変更があるようには思われません。