AIA審判規則案に関するUSPTOによる発表

米国特許商標庁(USPTO)庁官であるMichelle Lee氏は、ブログ[link: http://www.uspto.gov/blog/director/entry/ptab_s_quick_fixes_for]においてAIA審判規則に変更の可能性があることを示しました。今春にも規則案が導入されるように思われます。

今春、最初の「応急処置」の規則案が発表となるように思われます。本規則案によると、特許所有者による「補正するための申し立て(motion to amend)」におけるページ制限数を最高15ページから25ページへと増加してもよいことになります。(異議申し立てと返答概要書面についても、同様の追加ページ数の変更があります。)また、本規則案では、クレームの付録が認められ、嘆願者による返答概要書面におけるページ制限数を最高25ページへと増加してもよいことになります。これらの応急処置の規則案は未だ発行されていませんが、PTAB による日程命令により直ちに発効となります。

また、今夏に発行となる追加規則案では、更に重要な問題点について記載されるように思われます。例えば、USPTOは、クレーム補正の負担軽減を目的とした規則案を検討中です。現在、特許所有者は、「補正するための申し立て(motion to amend)」における差し替えクレーム案には、記録に既にある先行技術のみならず、記録になくとも、特許所有者にとって公知である先行技術に基づき、特許取得性があることを証明する必要があります。今まで、特許所有者にとってこの要件を満たすことは難しいことでした。現在USPTOが検討している規則変更案によると、特許所有者は、補正クレームには、記録に記載された先行技術に基づき特許取得性があることを証明するだけでよいことになります。

今夏発行となる規則案の一部として、USPTOは、対象当事者を特定するという嘆願者に対する要件に関するディスカバリーを以前に比べ緩和することを検討中です。今まで、PTABは、対象当事者の特定が適切に行われなかった嘆願書を拒絶してきました。従って、特許所有者が嘆願書に異議を唱えることができる重要な根拠となり得ます。現在、PTABは、嘆願書における対象当事者の特定に関するディスカバリーを必ずしも許可しているわけではありません。多くの場合、このような情報は、特許所有者がディスカバリー抜きでは理解できないものです。

また、USPTOは、試験的プログラムの開始も検討中です。この試験的プログラムとは、3名の審判官からなるパネル中の1名の審判官のみが、嘆願者が(IPR、PGR等のAIAに基づく)検討開始の要件を満たしたかどうかを判断し、残りの2名の審判官が、審判開始となった場合に限り、詳細な検討を行うため審判に参加するというものです。このプログラムは、嘆願者が審判開始の要件を満たしたとPTABの審判官が判断すると、検討を判断するPTABの審判官は特許取得性がないとする傾向があるという恐れを極力最小限とするため編成されています。