Helsinn Healthcare S.A. v. Teva Pharmaceuticals USA, Inc.事件
Helsinn Healthcare S.A. v. Teva Pharmaceuticals USA, Inc.事件において、連邦巡回は、AIAに基づく§102による「クレームに記載の発明の有効出願日前に、特許に記載され、印刷刊行物に記載され、公然に使用され、販売され、もしくは他の形で一般入手可能となった発明」の特許性の喪失の事由が、特許性喪失の事由(on-sale bar)の新たな公開要件を必要とするかどうかについて審議しました。連邦巡回は、§102の「他の形で一般入手可能となった(otherwise available to the public)」という節が、販売により発明の詳細を一般に公開することを必要とせず、特許性喪失の事由(on-sale bar)が今後も秘密の販売(secret sales)に適用されるとしました。
連邦巡回は、AIAの「他の形で(otherwise)」という節の文脈が「販売され(on sale)」という節を修飾するという主張を拒絶しました。連邦巡回は、販売により発明の詳細を公開するという引き金を必要とすることが、「制定法の特許性喪失の事由(on-sale bar)の理論において基礎的な変更をもたらし」、米国議会であるならば、その趣旨で明確な文言なしではこの変更を行わなかったであろうと記しました。また、そのような公開要件は、発明者に対して、発明を商品化しながら出願提出を遅らせることにより不当に独占権を拡大することを促進することになります。発明者は、企業秘密として発明を製造および販売し、発明から利益を得ることができ、企業秘密の強さが衰える際にのみ特許取得を求めることができます。また、特許性喪失の事由(on-sale bar)の観点から発明の一般公開を必要とすることは、最終的に特許が付与されると、商品化によって誰にでも使用できる状態(パブリックドメイン)にあった発明が自由に使用できなくなります。連邦巡回は、そのような要因が、「化学と有益な技術との進展を著しく遅らせる」ことになるとしました。
連邦巡回の分析において、米国議会の何名かの議員による供述は、あまり重要視されていませんでした。また、そのような供述は「米国議会の意図を示すものとして通常依拠されない」ことも強調されていました。いずれにしても、連邦巡回は、そのような供述では、秘密の販売ではなく、秘密の使用を先行技術として取り除くための議会の意図が単に示されているだけであるとしました。連邦巡回は、AIAが「秘密の販売」を先行技術として取り除いたかどうかについての更に幅広い懸念点が本件と関連性がないとして、該懸念点について判断することを拒否しましたが、連邦巡回の供述では、販売による特許性喪失の事由(on-sale bar)は、今後も秘密の販売に適用されるとされています。
HELSINN HEALTHCARE S.A. v. TEVA PHARM. USA, INC.事件、上訴番号 2016-1284, -1787 (Fed. Cir. May 1, 2017)。Dyk裁判官(意見執筆)、Mayer裁判官、O’Malley裁判官による審議。ニュージャージー州地区裁判所(Cooper裁判官)の判決を不服としての上訴。(販売による特許性喪失の事由: On-Sale Bar)